企業会計原則とは
企業会計原則とは、昭和24年(1949年)7月9日に大蔵省企業会計審議会(元経済安定本部企業会計制度対策調査会)により公布された一般に公正妥当と認められる会計処理の基準、いわゆる日本版GAAPです。企業会計原則には次のような性格があります。
- 実務慣習の中から一般に公正妥当と認められるものを要約したもの
- 金融商品取引法に基づく財務諸表監査が行われる際の判定基準
- 会計諸法令の制定改廃が行われる 際に尊重されるべきもの
なお、企業会計原則は法律ではないため、企業会計原則それ自体に何ら法的な強制力はありません。
しかし、会社法や金融商品取引法において、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うべきことが定められており、その一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行には企業会計原則が該当すると一般的に解釈されていることから企業会計原則は、金融商品取引法や会社法等の他の法令を通じて法的強制力が付与されているとされます。
企業会計原則は金融商品取引法会計に基づく有価証券報告書等の作成公開、会社法会計に基づく会社計算書類の作成公開に際して、すべての企業が必ず従わなければならない会計の指針です。
企業会計原則の規範性
企業会計は、記録と慣習と会計担当者の個人的判断というきわめて主観性の強い要素により成り立っています。
したがって、企業会計に何らかの規制を加えなければ、会計担当者は、その個人的判断を自由に行使し、会計処理の原則及び手続などを自由に選択適用し、利益を大きく計上したり、または小さく計上したりと利益操作の余地を与えることになります。そこでこのような主観的な性格を持つ企業会計に対してできる限り客観的・合理的な指針を与えて財務諸表に対する社会の信用を得る必要があります。
しかし、企業会計原則自体に法的な強制力を付与することは、企業会計実務の多様性、可変性などに対応できず適当ではありません。そこで、企業会計原則自体には直接的にな法的な強制力を与えず、会社法等の関連法令を通じて法的強制力が付与されるという形式がとられています。
企業会計をめぐる近年の動向
近年、企業会計制度の改正に際して、企業会計原則の改正という形はとらず、個々の論点について個別に企業会計基準を新たに設定することで会計基準の改正が行われています。企業会計基準は企業会計原則に優先して適用されますが、企業会計基準に規定されていない項目についてはこれまでどおり企業会計原則が適用されます。
企業会計原則の全文PDF
税理士試験の財務諸表論などの試験では企業会計原則の暗記が求められます。しかしPDF形式の企業会計原則というのは公開されていないのが現状です。そこで、企業会計原則を全文PDF化したものをご用意しました。全文、本文、注解とで3つのファイルに分割されています。
企業会計原則の全文解説
企業会計原則に関しましては会計学を学ぼう!にて、逐条解説を行っていますが、企業会計原則の条文を確認しながら、解説を確認したい条文の解説ページを即座に確認できるHTML形式のページをご用意しました。かなりおすすめです。