損益計算書

費用について具体例からみっちり解説!(図解豊富)

2023年8月24日

費用とは、事業活動を継続し、収益を獲得するために必要な事業コスト(事業経費)です。費用は売上高などの収益のマイナス要因として損益計算書に記載されています。

費用は会計学的には収益のマイナス要因であると認識されますが、社会通念的には成果を獲得するために必要な犠牲であったり、努力、投資といった意味あいもあります。

費用の具体例

費用の具体例としては次のものが一般的です。

  • 売上原価:会社の本業の直接原価
  • 人件費:従業員に対する給与や役員報酬
  • 地代家賃:事務所や工場の家賃、地代
  • 水道光熱費:電気代など
  • 荷造運賃:宅急便など
  • 租税公課:消費税、固定資産税など
  • 車両費:車両関連の費用

それ以外に法人税も会社の費用です。さらに、減価償却費といった特殊な費用もあります。

費用の計上基準

費用は現行制度会計において原則として発生主義により計上します。発生主義とは現金主義と対比される概念ですが、現金として実際に支払った会計期間ではなく、その費用が発生した会計期間に期間費用として認識する考え方です。

なお、発生主義とは、費用認識の大枠に過ぎず、実際には企業会計原則五、資産の貸借対照表価額にも記載されているとおり、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分されていきます。

企業会計原則JP-GAAP
資産の貸借対照表価額

調達した資本を事業活動に投入し、より大きなリターンとして回収するという企業の資本循環の過程を前提とすると、 資産は投下形態にある費用性資産と回収形態にある貨幣性資産とに分類されます。 費用性資産とは ...

資産の種類に応じた費用配分の原則

資産の種類に応じた費用配分の原則とは次のとおりです。

  • 固定資産:定額法、定率法等
  • 無形固定資産:有効期間にわたり一定の減価償却の方法
  • 棚卸資産:先入先出法、後入先出法等

原価と期間費用

費用は売上高との個別的対応関係の有無により原価(Cost)期間費用(Expense)に分類されます。

原価は損益計算書において売上原価として売上高との個別対応関係を重視して対応表示され、期間費用は販売費及び一般管理費として表示されます。

変動費と固定費

費用は販売量や生産量に比例して発生する変動費(Variable cost)と販売量や生産量によって増減しない、毎期固定的に発生する固定費(fixed cost)に分類されます。

変動費と固定費という分類は経済学の概念であり、会計上の概念ではありません。したがって変動費と固定費の分類は経済理論上、いろいろありますがここでは詳細は避けます。

変動費と固定費の性質を利用して損益分岐点売上高資金繰り分岐点売上高などを分析する損益分岐点分析は経理上、一般的に利用されますがその場合には、まず売上原価が変動費に該当します。それ以外の人件費や地代家賃などは固定費となります。水道光熱費のような変動費的性質のある固定費については変動費部分と固定費部分に手作業で分類する方法が実務上は一般的です。

費用と支出

費用(Expense)に類似するものに支出(Expenditure)があります。

損益計算書における利益のマイナス項目が費用で、キャッシュフロー計算書が対象としているのが支出です。フリーキャッシュフローは営業キャッシュフローから資本的支出(Capital expenditures)を差し引いて計算します。

フリーキャッシュフローの正確な算式

税金も事業活動に必要な費用

税金には法人税のような会社の所得を課税標準とする税金と消費税や固定資産税のような会社の所得以外を課税標準とする税金があります。このうち、法人税のような会社の所得を課税標準とする税金は法人税を計算する上で損金にはならないもののどちらも損益計算書において費用として計上される利益のマイナス項目です。

会社が支出する費用は基本的に全て事業経費

株式会社などの会社とは利益を稼ぐことを目的として設立された法人です。したがって法人が支出する費用は全て利益を稼ぐという目的を達成するために行われた活動に基づくものであり、基本的に全ての費用は事業経費、必要経費となります。法人税法の所得計算上、損金算入できないとしても会計上は全て必要経費です。

しかし、所得税法が適用される個人の場合にはそうではありません。個人は利益を稼ぐことだけを目的として設立された株式会社などの会社とは異なります。

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