複式簿記

複式簿記の仕訳とは

2023年8月15日

複式簿記の仕訳とは、企業の経済取引を仕訳のルールに従って、原因と結果の側面から、記録していくことをいいます。

仕訳のルール

複式簿記を使いこなすためには下の図解の内容が頭の中にぱっと浮かぶレベルでなければなりません。

そこまでの域に達していないよという方は簿記3級の仕訳問題を繰り返し解いて体に染みつかせる必要があります。

初心者の仕訳の手順

次のような資料が与えられたとします。

『A社は商品500万円を掛けで仕入れた』(分記法を前提)

この場合に、この取引を仕訳する手順としては、簿記のテキストどおりに仕訳のルールに従って行なうと次のようになります。

①商品という資産が増加していることに着目し、「商品」という資産の勘定を借方に記載します。

②次に買掛金という負債が増加していることに着目し、「買掛金」という負債の勘定を貸方に記載します。

③最後にそれぞれの勘定科目に金額を入れて最終的に次のように仕訳が完成します。

熟練者の仕訳の手順

上記のような仕訳記入のルールにしたがって仕訳をきることはあくまで仕訳をきる際の理屈、考え方であり、実際にこのような手順で仕訳を行なうことは時間がかかりますし現実的ではありません。

上記の問題であれば簿記の熟練者は次のような手順で仕訳を行います。

①まず第1段階として、「商品を仕入れた」というキーワードを見た瞬間に次にような借方部分だけが確定した未完成の仕訳を頭の中にイメージします。

ここでは資産の増加だから借方側うんぬんという勘定記入のルールは一切考えません。「仕入取引の場合には対価として現金を支払おうが掛けで購入しようが借方に商品勘定がくることは確定している」という、仕訳のパターンを利用するがポイントです。

②次に第2段階として、商品購入の「対価」が現金なのか掛けなのかを判断し、掛けであれば相手勘定が買掛金になり、現金であれば相手勘定が現金となると選択肢をパターンとしてイメージしつつ問題文を読み進めます。

この問題では掛け仕入れを行なっているため貸方の相手勘定が買掛金になり、最終的に次のように仕訳を完成させます。第一段階同様、負債の増加だからうんぬんという理屈は一切考えません。

取引の原因と結果とは

取引の原因

取引の原因とは、財産が増えた、財産が減ったというような結果がもたらされた要因、行動をいいます。具体的には「収益の発生」及び「費用又は損失の発生」が取引の原因に該当します。

取引の結果とは

それに対して取引の結果とは、取引が行なわれたことによりもたらされた財産の増加又は財産の減少という状態をさします。具体的には「資産の増加又は減少」及び「負債の増加又は減少」が取引の結果に該当します。

商品を現金10万円で販売した場合

商品を現金で販売した場合、複式簿記ではこれを商品の販売(収益の発生)という原因により、現金10万円の増加という結果がもたらされたととらえ、会計帳簿に次のように仕訳します。

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