資産の科目

受取手形についてみっちり解説!【簿記会計の勘定科目】

2023年8月24日

受取手形

受取手形とは、手形振出人が手形受取人に対して一定期日に一定場所(取引銀行)で手形金額を支払うことを約束した有価証券のことをいいます。

受取手形の種類

受取手形には、約束手形、為替手形、融通手形、割引手形、裏書手形等の種類があります。先日付小切手も受取手形に含まれます。

  • 約束手形
  • 為替手形
  • 融通手形
  • 割引手形
  • 裏書手形

手形取引はかつては良く行われていましたが、現代においてはあまり利用されません。

正常営業循環基準により常に流動資産

受取手形は営業上の債権であるため、正常営業循環基準により貸借対照表において流動資産の区分に表示します。

企業会計原則JP-GAAP
正常営業循環基準

正常営業循環基準とネット検索すると、会計ソフトを販売している会社や税理士事務所などが公開しているアンテナサイトが大量にヒットします。常々感じますが、そういったサイトに書いてある内容っていい加減すぎます ...

手形取引は時代遅れ

受取手形は、通常、決済期日が60日先、90日先等で指定されており、売掛金より資金回収までの期間がかなり長いです。手形決済日前に現金化するためには一定の割引料を負担して手形割引を行わなければならず、通常の掛け取引と比較して受取手形を受け取った売り手側は資金的にかなり不利になります。

また、手形を発行した得意先が手形の決済日に倒産した場合には代金の支払を受けることができず、かつ、銀行に対してその手形代金を弁済しなければならないという、手形遡及義務を負います。

しかも、どんな大企業であっても決済期日が数ヶ月先となると絶対倒産しない保証はないことから受取手形を受け取ることにはそもそもリスクを伴います。

つまり手形取引はかなり不合理な商慣習であり、下請けいじめのようなところがあり、はっきり言って時代遅れです。手形取引による下請けいじめは社会問題化しており、公正取引委員会からも原則として手形取引は控えるように等との通達も出されています。したがって現代においては通常ほとんど使われることがないです。

簿記検定では頻出

ただし、簿記検定では手形取引は良く出題されます。

受取手形とキャッシュフローとの関連

(借方)受取手形 ××(貸方)売上 ××

商品を販売した時点で売上高(収益)が発生して同額の当期純利益が増加します。しかし、対価して受取手形という売上債権を取得しましたがいまだ現金化に至っていないためキャッシュは増加していません。したがって受取手形増加分だけ営業キャッシュフローのマイナスとなります。

(借方)現金 ××(貸方)受取手形 ××

受取手形を実際に現金化できた段階で営業キャッシュフローのプラスとなります。

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