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正常営業循環基準とは?対象となる資産・負債

2023年8月3日

企業会計原則JP-GAAP

正常営業循環基準は、貸借対照表の資産・負債を流動と固定に分けるための基準の一つです。1年基準とあわせて使われますが、その適用範囲は意外と誤解されています。この記事では、企業会計原則の規定に沿って、正常営業循環基準の意味と適用範囲を整理します。

この記事のポイント

  • 正常営業循環基準とは、営業の流れ(仕入→製造→販売→回収)の中にある項目を流動とする基準
  • 売掛金・受取手形・棚卸資産・買掛金・支払手形などが対象
  • 営業循環外の項目にはワンイヤールール(1年基準)を適用する

正常営業循環基準の一般的な説明

正常営業循環基準について、教科書などでは一般に次のように説明されます。

資産と負債を流動・固定に区分する基準には、正常営業循環基準と1年基準(ワンイヤールール)がある。

まず正常営業循環基準により、企業の通常の営業のサイクル(仕入→製造→販売→代金回収)の中にある資産・負債は、現金化や支払いまでの期間にかかわらず流動資産・流動負債とする。次に、正常営業循環基準が適用されないものは、1年基準により、決算日の翌日から1年以内に現金化・支払いされるものを流動とする。

この説明自体は正しく、会計学の試験でもこのように答えれば正解です。

ただし、具体的にどの項目に正常営業循環基準が適用されるかについては、企業会計原則の規定を細かく見ると、少し整理が必要です。

英語での表現

正常営業循環基準は、日本では企業会計原則を根拠とする会計用語です。国際会計基準(IFRS)でも、資産・負債を流動・非流動に分ける際に、企業の「通常の営業循環(normal operating cycle)」の中で実現・決済されるかどうかという考え方が使われており、同様の考え方は海外にもあります。

企業会計原則の規定

正常営業循環基準の直接の根拠は、貸借対照表原則と、それを受けた企業会計原則注解16です。そこには次のように書かれています。

[注16]流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について(抜粋)

受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更生債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。

つまり、正常営業循環基準とは、

  • 受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金などの
  • 会社の主たる営業取引から生じた債権・債務は
  • 流動資産または流動負債とする

という内容です。ただし、営業上の債権でも、破産更生債権等で1年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産(投資その他の資産)とされます。

棚卸資産は別の規定で流動資産とされている

一般には「棚卸資産も正常営業循環基準によって流動資産になる」と説明されることが多いです。考え方としてはそのとおりですが、企業会計原則注解16では、棚卸資産については営業上の債権・債務とは別に、次のように定められています。

[注16](抜粋)

商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は、固定資産に属するものとする。

なお、固定資産のうち残存耐用年数が一年以下となったものも流動資産とせず固定資産に含ませ、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。

  • 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品などの棚卸資産は、流動資産とする
  • 恒常在庫品や、余剰品として長期間持っている棚卸資産も、固定資産とせず流動資産に含める

このように、棚卸資産は、1年以内に売れるかどうかに関係なく、注解16の規定によって流動資産と定められています。正常営業循環基準の考え方に基づくものですが、条文の上では営業債権・債務とは別に個別に定められている、と理解しておくと正確です。

有価証券は保有目的などで分類する

もう一つ誤解されやすいのが有価証券です。有価証券は、単純に1年基準で分類するのではなく、保有目的によって流動・固定を分けます。売買目的の有価証券や、1年以内に満期が来る債券などは流動資産、それ以外の長期保有のものは固定資産(投資有価証券など)になります。

正常営業循環基準の対象は営業上の債権・債務

結局、条文の上で正常営業循環基準によって流動・固定を分けるのは、売掛金、受取手形、前払金、買掛金、支払手形、前受金などの営業上の債権・債務だということになります。

流動・固定の区分の一覧表

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正常営業循環基準に関するよくある質問

Q. 正常営業循環基準の対象は?

売掛金、受取手形、商品・製品などの棚卸資産、前渡金、買掛金、支払手形、前受金などです。

Q. 1年を超えて回収される売掛金も流動資産ですか?

はい。営業循環内の項目は回収期間にかかわらず流動資産になります。ただし破産更生債権等は固定資産に区分します。

Q. ワンイヤールールとの関係は?

まず正常営業循環基準で判定し、営業循環に含まれない項目をワンイヤールールで判定します。

中の人

勤務税理士。税法はもとより資金繰り、財務関係も詳しいです。休日に植物いじるのが趣味。あと猫好き。

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