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支払手形とは?意味と仕訳、紙の手形廃止の影響

2023年8月27日

支払手形とは、商品の仕入代金などの支払いのために振り出した約束手形のことです。かつては企業間の取引で広く使われていましたが、現在は法律の改正もあって利用が大きく減っています。この記事では、支払手形の意味と会計処理、小切手との違い、資金繰りへの影響と、最近の法改正を解説します。

この記事のポイント

  • 支払手形とは、仕入代金などの支払いのために約束手形を振り出したときの負債
  • 期日に決済できないと不渡りとなり、6か月以内に2回で銀行取引停止処分となる
  • 紙の約束手形は廃止に向かっており、電子記録債務(でんさい)や振込への移行が進んでいる

支払手形とは

支払手形とは、手形の振出人が受取人に対して、決められた期日に、決められた場所(取引銀行)で手形金額を支払うことを約束した証券を、振り出した側から見たものです。

手形による支払いが慣習になっている業界もありましたが、手形の利用は年々減っています。国は約束手形の利用廃止に向けた取り組みを進めており、2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(改正下請法、通称:取適法)では、対象となる取引で手形による代金の支払いが禁止されました。

簿記での支払手形

簿記の問題では、商品を仕入れたときの支払方法として、買掛金と並んで支払手形がよく出題されます。問題では「商品を仕入れ、代金は約束手形を振り出して支払った」などと必ず指示があるので、それを確認して仕訳をします。

(借方)仕入 ×× (貸方)支払手形 ××

手形の支払期日に当座預金から代金が引き落とされたときは、支払手形を減らします。

(借方)支払手形 ×× (貸方)当座預金 ××

実務では、簿記の問題のように取引ごとに自由に支払方法を選べるわけではなく、業界の慣習や取引先との契約で支払方法が決まっているのが一般的です。

手形を振り出すには当座預金が必要

手形を振り出すには、取引銀行に当座預金口座を開設して当座取引契約を結び、手形用紙の交付を受ける必要があります。当座取引の開始には銀行の審査があり、誰でもすぐに手形を振り出せるわけではありません。

手形を振り出した場合、支払期日に、その金額が会社の当座預金口座から引き落とされます。期日に残高が足りず不渡りを出すと、会社の信用は大きく傷つき、6か月以内に2回不渡りを出すと銀行取引停止処分を受けます。

支払手形と小切手の違い

手形も小切手も、振り出すには当座預金口座が必要という点は同じです。

ただし小切手は、受け取った側が銀行に持ち込めば、すぐにお金に換えられるのに対し、手形は支払期日が決められているため、期日にならないと代金を受け取れません。期日前にお金に換えたい場合は、割引料を負担して銀行で手形割引をしてもらう必要があります。

小切手はすぐにお金に換えられるため、簿記では、受け取った他人振出の小切手は現金として処理します。

支払手形と資金繰りの関係

支払う側は資金繰りが楽になる

手形の支払期日を仕入から60日後、90日後などに設定すれば、商品を仕入れてから実際に代金を支払うまでの期間が延びるため、手形を振り出す側の資金繰りは楽になります(営業キャッシュフローのプラス要因)。

手形の振出しで支払いまでの期間が延びるイメージ

仕入代金の支払いより先に売上代金を回収できることも

支払いを手形にして期日を先に延ばせば、仕入れた商品を販売して売上代金を回収した後に、仕入代金を支払うことも可能になります。そうなれば、自己資金をほとんど使わずに事業を回すことができ、資金繰りの面では非常に有利です。

仕入代金の支払いより先に売上代金を回収するイメージ

一方で、手形を受け取る側にとっては、商品を販売してから代金を受け取るまで長く待たされることになり、そのぶん資金繰りの負担が増えます(営業キャッシュフローのマイナス要因)。

手形取引が規制されるようになった理由

このように、手形による支払いは、振り出す側には資金繰り上のメリットがある一方、受け取る側には大きな負担になります。

特に、大企業が下請けの協力会社に部品加工などを発注した際の代金を手形で支払うケースでは、立場の弱い下請事業者が断りにくく、資金繰りの負担を押し付けられる形になっていました。こうした問題から、手形の支払サイトの短縮が求められるようになり、前述のとおり、2026年1月からは取適法の対象となる取引で手形払いそのものが禁止されています。

手形を受け取る側のメリット

手形を受け取る側にもメリットがまったくないわけではありません。

割引で早めに現金化できる

手形は、割引料を負担すれば期日前でも銀行でお金に換えることができます。支払期日の遠い売掛金と比べて、早めに現金化できる場合があります。

支払期日と金額が確定している

売掛金は信用に基づく取引で、支払いの時期や確実性は取引先しだいです。手形は支払期日と金額が明確で、不渡りになると振出人は銀行取引停止という重い不利益を受けるため、支払いの確実性は比較的高いといえます。ただし、振出人が倒産すれば回収できない点は売掛金と同じです。

貿易取引での手形

貿易取引では、船積みから貨物の到着までに時間がかかり、取引相手の信用状況も分かりにくいことがあります。そのため、船荷証券などの書類と組み合わせた荷為替手形や信用状(L/C)を使って、代金の回収リスクを抑える方法が使われてきました。

支払手形に関するよくある質問

Q. 支払手形の仕訳は?

仕入代金を手形で支払った場合、借方「仕入」、貸方「支払手形」、決済時は借方「支払手形」、貸方「当座預金」です。

Q. 不渡りになるとどうなりますか?

6か月以内に2回不渡りを出すと銀行取引停止処分となり、事実上の倒産状態となります。

Q. 手形の代わりに何を使えばよいですか?

電子記録債権(でんさい)や期日振込などが代替手段です。政府は2026年度末までに紙の約束手形の利用廃止を目指しています。

中の人

勤務税理士。税法はもとより資金繰り、財務関係も詳しいです。休日に植物いじるのが趣味。あと猫好き。

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