収益性分析

ROE(自己資本利益率)とは?計算式と目安、ROAとの違い

2023年8月4日

自己資本利益率(ROE)は、株主が出資したお金や会社に残してきた利益を使って、どれだけ効率よく利益を上げているかを示す指標です。投資家が最も重視する指標の一つで、上場企業の経営目標にもよく使われます。この記事では、計算式と意味、分母に何を使うかの考え方を解説します。

この記事のポイント

  • ROE=当期純利益÷自己資本×100で、株主の出資に対してどれだけ利益を上げたかを示す
  • 日本企業では8%以上が一つの目安とされる
  • 借入を増やすと自己資本が小さくなりROEは上がるため、自己資本比率と併せて確認する

自己資本利益率(ROE)とは

自己資本利益率とは、貸借対照表の純資産(自己資本)に対する、損益計算書の当期純利益の割合です。計算式は次のとおりです。

自己資本利益率(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

自己資本利益率の計算式(当期純利益÷自己資本×100)

英語ではReturn On Equityと表記されるため、略してROEと呼ばれます。

ポイントをまとめると次のとおりです。

  1. 自己資本利益率は、当期純利益を自己資本で割って求める
  2. 株主から見た収益性と、資本を使う効率性の高さを示す
  3. 高いほど、株主の資本から利益を生み出す力が高いことを意味する
フィン博士
フィン博士
初心者にも分かりやすく解説する都合上、分母を「純資産」として解説しています。しかし厳密には「自己資本」が正しいです。詳細はこちらをご覧ください。

財務レバレッジによってROEは高くなる

自己資本利益率は、借入を増やして負債比率を上げることで高めることもできます。これをレバレッジ効果といいます。図にすると次のとおりです。

借入を増やすと自己資本利益率が高くなるレバレッジ効果のイメージ

借入を増やすと、そのぶん総資産が増えます。増えた資産が借入の金利を上回る利益を生めば、利益は増えます。一方で純資産は変わらないため、自己資本に対する利益の割合、つまりROEは高くなります。

ただし、増やした資産が金利ほどの利益を生まなければ、逆にROEは下がります。また、借入を増やせば安全性は下がるので、ROEの高さだけで判断せず、自己資本比率などとあわせて見ることが大切です。

 

この記事もおすすめ
財務レバレッジとは?計算式と自己資本比率との関係

財務レバレッジとは、総資本÷純資産で計算する、自己資本の何倍の資産を動かしているかを示す指標です。自己資本比率との関係や、会社の成長とともにどう変わるかを例を使って解説します。

 

指標をまとめて計算してみよう

決算書の数字を入力するだけで、この記事の指標を含む主要な財務分析指標をまとめて計算できる無料ツールを用意しています。

業種平均と比べる財務診断で計算する

計算例

それでは次の決算書から、自己資本利益率(ROE)を計算してみましょう。ここでは純資産をそのまま自己資本として計算します。

計算例に使う貸借対照表と損益計算書

答え

自己資本利益率:当期純利益720 ÷ 純資産1,230 × 100 ≒ 58.5%

分母は純資産・自己資本・株主資本のどれか

ROEの分母には、似た言葉がいくつかあり、資料によって使い方が異なります。

  • 純資産:貸借対照表の純資産の部の合計。最もシンプルな方法
  • 自己資本:純資産から新株予約権と非支配株主持分を除いたもの。有価証券報告書や東京証券取引所の資料のROEはこちら
  • 株主資本:資本金・剰余金などの合計。分母を株主資本にしたものは「株主資本利益率」と呼ばれることもある

2006年に会社法が施行され、貸借対照表の「資本の部」は「純資産の部」に改められました。それ以降、自己資本・純資産・株主資本という言葉の使い分けが分かりにくくなっています。

英語の「Equity(Shareholders’ Equity)」は、日本の会計基準でいえばおおむね純資産の部に当たります。どれを使っても大きな誤りではありませんが、他社や公表値と比べるときは、分母の定義をそろえることが大切です。

ROEの分解

自己資本利益率は、売上高利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジに分解できます。分解すると、ROEを高めるために何を改善すればよいかがはっきりします。

ROEの分解について詳しくはコチラ

総資産利益率(ROA)との比較

自己資本利益率と似た収益性の指標に、総資産利益率(ROA)があります。両者の違いは別の記事で比較しています。

ROEとROAの比較について詳しくはコチラ

【無料】決算書の実務・学習に役立つ分析ツール&テンプレート

当サイトでは、決算書の数値を入力するだけで本指標を含む主要指標を自動計算・他社比較できる無料ツールやExcelテンプレートを公開しています。

ROEに関するよくある質問

Q. ROEの目安は?

伊藤レポートで示された8%が一つの目安です。10%以上あれば高水準とされます。

Q. ROAとROEの違いは?

分母が異なります。ROAは総資産、ROEは自己資本を分母とし、ROE=ROA×財務レバレッジの関係があります。

Q. ROEが高すぎるのは問題ですか?

自己資本が極端に少ない(借入が多い)ことでROEが高くなっている場合は、安全性に注意が必要です。

中の人

勤務税理士。税法はもとより資金繰り、財務関係も詳しいです。休日に植物いじるのが趣味。あと猫好き。

-収益性分析
-, ,