ディスクロージャー(Disclosure)とは情報の開示を行うことで、会計の分野においてディスクロージャーとは財務諸表の開示を意味します。
我が国においては、会社法、金融証券取引法、証券取引所という三つのディスクロージャー制度が存在しています。財務諸表はディスクロージャー制度に基づき、作成や公表が義務化されています。
それに対して、ディスクロージャー制度には基づかない、会社が独自の判断で任意的に行う財務情報の開示もあります。代表的なのがIR情報です。有名な上場企業であればコーポレートサイト(ホームページ)上でIR情報を開示しています。IR情報の開示は情報会計の範疇となります。
我が国におけるディスクロージャー制度
我が国におけるディスクロージャー制度としては次の三つが存在しています。
- 会社法:中小企業を含む全ての株式会社等が対象
- 金融証券取引法:株式公開を行っている上場企業等が対象
- 証券取引所:株式公開を行っている上場企業等が対象
株式公開を行っていない中小企業の場合には会社法のディスクロージャー制度のみ適用となります。
財務諸表は制度ごと名称が異なる
そして、それぞれのディスクロージャー制度ごとに作成等が義務づけられている財務諸表は名称が異なります。さらに、財務諸表の様式なども少し異なります。内容に関してはちょくちょく法改正等がありますので根拠法を参照ください。
ちなみに、会社法により作成が義務づけられているのが「計算書類」、金融証券取引法により作成が義務づけられているのが「有価証券報告書」、証券取引所が開示が義務づけているのが「決算短信」です。
会社法の計算書類
会社法は主に債権者保護を目的として財務諸表(計算書類)の作成が義務付けられており、株主と債権者に対して提出が行われます。
本来は決算公告としてその他第三者に対しても広く計算書類を公開する義務がありますが、実際に決算公告を行っている会社は少ないです。
決算公告をしなかった場合であっても特にお咎めがないためほとんどの会社は決算公告を行っていません。
銀行融資を申し込む際には必要性に応じて相手方(この場合では銀行)に計算書類を提出します。併せて法人税申告書などの提出も求められるのが普通です。会社法のディスクロージャー制度としては、個人的な主観としてはこれで問題ないかなと思います。
金融商品取引法の有価証券報告書
金融商品取引法は主に投資家保護を目的として財務諸表(有価証券報告書)の作成が義務付けられています。会社法とは異なり、一般投資家に対して広く財務諸表の開示(ディスクロージャー)が行われます。
さらに、ディスクロージャー制度の枠外のものとして後述していますがIR情報の開示などが行われています。財務会計であるディスクロージャー制度に対してIR情報の開示は情報会計です。
証券取引所の決算短信
証券取引所の適時開示のルールに基づき、決算日後1~2ヶ月以内に開示される財務諸表が決算短信です。
金商法の有価証券報告書は決算日後3か月後にならないと開示されないため、前倒しで開示するのが目的です。
アカウンタビリティ
なお、ここまで解説してきたディスクロージャー制度に基づく財務諸表の開示は財務会計の範疇とされます。財務会計においては、会計責任(アカウンタビリティ)を果たすために財務諸表という伝達メディアを通じて利害関係者に情報の開示が行われます。
ディスクロージャー制度に基づかない情報開示
それに対して、ディスクロージャー制度には基づかない、会社が独自の判断で任意的に行う財務情報の開示もあります。代表的なのがIR情報です。
有名な上場企業であればコーポレートサイト(ホームページ)上でIR情報を開示しています。IR情報の開示は情報会計の範疇となります。
まとめ:ディスクロージャー制度とは
ディスクロージャー制度についてまとめると次のとおりです。
なお、ディスクロージャー制度の目的は、会社の営業に関する事実や情報を顧客、投資家、その他、取引に関わるあらゆる人々に適切な情報を知らせることにあります。アカウンタビリティを果たすという言い方もされます。