繰延税金資産の計上
繰延税金資産とは、将来減算一時差異に法定実効税率を乗じて計算したものです。
このようにして計算された繰延税金資産のうち、タックスプランニング等によりその差異が解消する課税期間に課税所得を減額する効果を有すると認められるものだけが繰延税金資産として貸借対照表に計上されます。
将来減算一時差異
ちなみに、将来減算一時差異とは、一時差異のうち、当該一時差異が解消する時にその期の課税所得を減額する効果を持つものをいいます。主な具体例としては次のとおりです。
- 減価償却超過額:会計上の減価償却費を税法上の償却限度額以上に償却した場合のその超過額
- 貸倒引当金繰入超過額:企業が回収可能性が低いと見込まれる債権について決算で引当金処理したが、税法上の貸倒引当金の要件に該当しないため全額否認された場合のその否認額
- 繰越欠損金:欠損金のうち翌事業年度以後に繰り越すことができるもの
- 事業税の未払計上額:決算で事業税を未払計上したもの
繰延税金資産には実体がなく法的な権利でもない
このように繰延税金資産とは、資産として貸借対照表に計上されますが、例えば土地や建物のような実体のある財産はないです。なおかつ、売掛金や貸付金、有価証券のような法的な権利でもありません。
しかし、将来の課税期間において課税所得を減額するという用益潜在力があることから当然、貸借対照表に資産として計上すべきものとなります。
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繰延税金資産の計上は真実な会計報告
繰延税金資産の計上は会計基準に基づいて行われます。したがって、繰延税金資産の計上は会計ルールに基づいて行われている限り、企業会計原則の真実性の原則の要請にかなうものであり、真実な会計報告として認められます。
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真実性の原則
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固定資産の区分に表示
繰延税金資産については、以前までワンイヤールールにより流動資産又は固定資産に表示することとなっていましたが、会計基準の改正により常に固定資産の投資その他の資産として表示することに改められています。ご注意ください。
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流動固定の区分を整理した分類表
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