税効果会計の大まかな手順
税効果会計の手順ははっきり言いましてかなり難しいです。したがってざっくり大まかに解説すると次のとおりです。
税効果会計はまず最初に一時差異と法定実効税率を把握するところから始めます。次にその一時差異に法定実効税率を乗じることで繰延税金資産を算出します。
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繰延税金資産
繰延税金資産の計上 繰延税金資産とは、将来減算一時差異に法定実効税率を乗じて計算したものです。 このようにして計算された繰延税金資産のうち、タックスプランニング等によりその差異が解消する課税期間に課税 ...
一時差異が将来減算一時差異である場合には法定実効税率を乗じると繰延税金資産となりますが、一時差異が将来加算一時差異である場合には法定実効税率を乗じると繰延税金負債となります。そのうち繰延税金資産についてはその差異が解消すると見込まれる将来事業年度における回収可能性を判断します。
繰延税金資産は、回収可能性があると判断できる場合に仕訳計上します。仕訳を計上すると貸借対照表と損益計算書に反映されます。
と、こんな感じになります。
ポイントを箇条書きにすると次の5ステップです。
- (1)一時差異を把握
- (2)法定実効税率を計算
- (3)一時差異に法定実効税率を乗じることで繰延税金資産(又は繰延税金負債)を算出
- (4)繰延税金資産について回収可能性を判断
- (5)回収可能性があるものについて仕訳を計上
(1)一時差異の把握
税効果会計とは、会計と税務のズレについて行う会計処理です。
しかし、決算終了後、法人税額を算定する段階になってからそのズレに気づいて処理を開始するのではなく、会計期間中に把握できる一時差異はその都度把握していきます。
(2)法定実効税率の計算
法定実効税率とは、所得に対する税金の負担割合です。法人の場合には法人税だけでなく、住民税の法人税割部分と事業税の所得割部分についても考慮して計算されます。住民税や事業税は市区町村によって税率が異なるため、実際に適用される税率を使って計算する必要があります。
税効果会計に際して使用する法定実効税率は税効果会計に係る会計基準の適用指針において計算方法が法定されています。
法定実効税率 = 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率 / 1+事業税率
(3)繰延税金資産の計算
繰延税金資産又は繰延税金負債は、一時差異等に係る税金の額から将来の会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を控除して計上しなければなりません。
(4)繰延税金資産について回収可能性の判断
繰延税金資産の回収可能性は、次の(1)から(3)に基づいて、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかを判断します。(繰延税金資産適用指針)
- (1)収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得
- (2)タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得
- (3)将来加算一時差異
(5)税効果会計の仕訳を計上
繰延税金資産(流動) | 法人税等調整額 | ||
繰延税金資産(固定) | 法人税等調整額 | ||
法人税等調整額 | 繰延税金負債(流動) | ||
法人税等調整額 | 繰延税金負債(固定) |