簿記には複式簿記と単式簿記というものがあります。そのうち複式簿記とは、取引の法則性に着目し、取引の原因と結果とを同時に会計帳簿に記録・集計する簿記の手法をいいます。
複式簿記の記録対象
複式簿記が記録の対象とする取引とは、会社が行う経済活動でお金に換算できるもの全てとなります。
- 会社が行う経済活動で
- お金に換算できるものすべて
経済活動とは
経済活動とは経済用語です。やさしく説明しますと全ての会社は利益の獲得を目的として設立されています。したがって経済活動とは利益の獲得のために行われてる活動全般をいいます。なお、不可抗力による損失発生も経済活動に含まれますので、火災や盗難による損失発生も経済活動に含まれます。
お金に換算できるとは
会社は利益獲得に向かって、全社員一丸となって日々の業務をこなしています。そして、例えば、経理部員による帳簿記帳も、営業部員による見込み客の獲得も利益獲得のために行われている活動全般に該当します。つまりこれらは経済活動です。
しかし、複式簿記が対象とする取引にはお金に換算できるものという制約が入っています。したがって、経理部員による帳簿記帳も、営業部員による見込み客の獲得はお金に換算できないため、複式簿記による記録の対象とはなりません。
網羅的に記録
したがって複式簿記による会計帳簿には企業が行った経済取引が漏れなく網羅的に記録されていくことになります。
会計帳簿から決算書を作成できる
複式簿記による会計帳簿には網羅性があるため、ここに何かを付け加えたりといった作業を経なくても会計帳簿を集計するだけで一瞬で利益を計算することができます。これが複式簿記による帳簿記帳の最大の利点です。かなり画期的だと思いませんか?
上記のような複式簿記のシステムは人類が大昔に発明したものですが、ドイツの文豪ヨハン・ゲーテは、その著書『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』において、複式簿記を人類の最も偉大な発明のひとつであると賞賛しています。
複式簿記による記帳方法
複式簿記による取引記録は仕訳により行います。仕訳の基礎は日商簿記検定3級で学習します。2級まで合格すれば一般企業で経理担当者として働くだけの知識が得られますので転職などに有利です。
簿記は江戸時代から日本に定着
簿記は明治時代から日本に定着しておりその時点で基本的な仕組みが完成しています。したがって現代人にとっては言い回しがかなり古臭く感じるはずです。簿記界隈に公益法人簿記研究会みたいなロビー団体が存在していたら間違いなく簿記の用語を改めよと提言を行っていたはずですが、良いのか悪いのか、簿記の分野に関してそういったロビー団体は存在していないようです。
簿記の用語に関しては最初は少し違和感を感じると思いますが慣れてしまえば問題ないので慣れてしまいましょう。