貸借対照表の区分

総資産についてよくある勘違いを踏まえてみっちり解説(図解豊富)

2023年8月6日

総資産とは

超簡略化して解説しますと、総資産とは、貸借対照表の資産全体を意味します。下のような図解の青色部分全部です。

総資産の貸借対照表の表記

では実際に貸借対照表の具体例を使って総資産の部分赤で囲ってみたいと思います。それがこれです。

総資産

総資産の意味

総資産には会社が事業活動に投下している資産全体といった意味があります。財務分析においてよく使われる数字です。それだけ意味があるということでもありますが。

財務分析Financial analysis
総資産利益率(Return On Assets):当期純利益/総資産

総資産利益率とは 総資産利益率とは、当期純利益を総資産(=総資本)で割って算出される指標。 総資産利益率は収益性と利益を生み出すための効率性の高さを示す。 総資産利益率が高いほどバランスシート全体をよ ...

財務分析Financial analysis
総資産回転率(Asset Turnover Ratio):売上高/総資産

総資産回転率 総資産回転率とは、事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標です。総資産回転率の算式は次のとおりです。 総資産回転率はAsset Turnover Ratioないしは日本 ...

総資産は三つに区分される

総資産は流動性などの観点から次の三つの分類して貸借対照表に表示されます。

財務分析を行う際にも総資産を細分化した項目である流動資産や固定資産はとてもよく使われます。

財務分析Financial analysis
流動比率(Current Ratio):流動資産/流動負債

流動比率とは 流動比率とは、短期的流動性(支払能力)を示す指標。 流動資産の全てを最大限に活用した際に、流動負債の支払をどの程度満たすかを示す。 流動比率はCurrent Ratioと英語表記。 流動 ...

財務分析Financial analysis
当座比率(Quick Ratio):当座資産/流動負債

当座比率とは 当座比率とは、短期的流動性(支払能力)を示す指標。 流動資産の全てを流動負債に対する支払原資に含める流動比率より保守的。 当座比率は比率が高ければ高いほどその会社の流動性と財務的健全性が ...

純資産と総資産の比較

総資産とたまに混同されるものに純資産があります。

一文字しか違いませんが純資産と総資産は全く別のものです。純資産に関する詳細は純資産の解説ページをご覧いただきたいのですが図解するとこんな感じです。

総資産と純資産の比較

総資産と総資本の比較

ちなみに総資産と総資本とは貸借対照表の左側と右側ですが金額は1円単位まで必ず一致します。資本の運用側か調達側かという違いになります。

財務分析における総資産の利用

総資本とは、資産を意味します(負債と純資産の合計であることから)。また、総資本と総資産は金額が同じなので例えば自己資本比率の計算で総資本でなく総資産を使っても結論は変わりませんが、次のように使い分けされています。

総資本を使う場合

資本の構成を評価する際には総資本が使われます。代表的なのは自己資本比率です。その他、財務レバレッジ、負債比率(DEレシオ)など。

自己資本比率

自己資本比率とは、総資本に占める純資産の割合を示す指標です。自己資本比率の算式は次のとおりです。

自己資本比率

英語ではShareholder Equity Ratioといいます。株主資本比率ですね。

総資産を使う場合

逆に投資効率、収益力を評価する際には総資産が使われます。代表的なのが総資産利益率(ROA)です。その他、総資産回転率など。

総資産利益率(ROA)

総資産利益率とは、貸借対照表の総資産に対する損益計算書の当期純利益の割合をいいます。総資産利益率の算式は次のとおりです。

総資産利益率

総資産利益率は英語でReturn On Assetsと表記されるため略してROAとも呼ばれます。

中の人

事業会社の財務担当者として勤務していたことがある異色の経歴の勤務税理士。休日に植物いじるのが趣味。あと猫好き。早く独立して氏名公開したい。

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