安全性分析

固定比率(Fixed assets to equity ratio):固定資産/純資産

2023年8月7日

固定比率とは

  1. 固定比率とは、固定資産が純資産で賄われているかを示した指標。
  2. 固定長期適合率と類似している指標。
  3. 固定比率の算式は次のとおり。

固定比率

ちなみに、固定比率を英語に直訳するとFixed ratioとなりますが、これは英文簿記の分野の直訳英語であり、このような英語は存在しません。

固定比率のより厳密なバージョン

固定比率のより厳密なバージョンとしてFixed Assets to Net Worth Ratioというものがあります。

ちなみにNet Worthとは、総資産を換金価値で評価し、その総資産で総負債を弁済したとした際に最後に残る残余財産で、純粋な意味での純資産になります。

固定比率の教科書的な説明

建物や機械設備といった固定資産に対する設備投資は、金額的にかなり多額にのぼる上、長いものだと何十年単位で長期的に資金が拘束されます。したがって設備投資を行う場合には返済義務のある借入金ではなく、純資産の範囲内で行っておけば安全だよね。というのが固定比率の意味あいとなります。

純資産は返済義務がないため、この図解のように固定比率は100%以内に収まっている状態が理想とされます。

逆に固定資産がが純資産より大きく、固定比率が100%を超えているような場合には固定資産に対する投資が返済義務のない自己資本で賄えていないため資金繰り的に厳しくなりがちであると教科書的には説明されます。

しかし、現実的な話として、中小企業であっても上場しているような大企業であってもほとんど全ての株式会社において固定比率が100%以内に収まっていることなんてほぼないです。設備投資をする場合には銀行に設備投資の融資を打診するのがごく普通の会社ですし銀行も設備投資であれば比較的簡単に融資してくれます。

固定比率は100%を超えるのが普通

前述のとおり、現実の会社経営においては固定比率は100%を超えるのが普通です。優良な上場企業ですら200%くらいあるのが普通です。

しかし、「固定比率」とネット検索すると固定比率が100%を超えている場合には安全とは言えないため改善を行った方がよいなどと書かれているサイトがあったりします。

しかもご丁寧に固定比率を改善する方法としては固定資産を減らす、もしくは自己資本を増やせばよいなどと解説されています。あほかって思いますね。

収益獲得のために事業投資は欠かせないのに財務分析指標からみて安全ではないから投資は辞めようなどと経営判断をするような経営者がもしいたら経営者として失格です。

サンプル問題

それでは実際に固定比率を計算してみましょう。

答え合わせ

2100/1230*100=170.73%

-安全性分析
-