自己資本利益率とは
- 自己資本利益率とは、当期純利益を株主資本(日本会計基準の純資産)で割って算出される指標。
- 自己資本利益率は収益性と利益を生み出すための効率性の高さを示す。
- 高ければ高いほど株主資本から利益を生み出す能力が高いことを意味する。
自己資本利益率とは貸借対照表の純資産に対する損益計算書の当期純利益の割合をいいます。自己資本利益率の算式は次のとおりです。
自己資本利益率は英語でReturn On Equityと表記されることから略してROEとも呼ばれます。
財務諸表のサンプルで確認
財務諸表のサンプルを使ってそれぞれどの場所の数字なのかを確認すると次のとおりです。
自己資本利益率のレバレッジ効果
自己資本利益率はも負債比率を上げることで意図的に高くすることができます。レバレッジ効果と呼ばれます。
図解にすると次のとおりです。
負債の金額を増やすと会社の総資産が増加します。総資産回転率が一定であると仮定するとこれにより利益が増加します。しかし純資産は変わっていないため自己資本に対する利益の割合、すなわち自己資本利益率は高く計算されます。
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財務レバレッジ(The Equity Multiplier):総資本/純資産
財務レバレッジとは 財務レバレッジとは、総資本が純資産に対して何倍になっているのかを示す指標です。財務レバレッジの算式は次のとおりです。 財務レバレッジはEquity Multiplierと英語表記さ ...
サンプル問題
それでは実際に自己資本利益率(ROE)を計算してみましょう。
答え合わせ
720/1230*100=58.53%
自己資本利益率(ROE)の分母は純資産とするのが正確
少し専門的な話になりますが、2005年くらいに、会計基準の改正により、貸借対照表の資本の部分の表記が資本の部から純資産の部へと改められました。それに伴い自己資本は株主資本に表記が変更になりました。したがって、自己資本利益率の分母を自己資本ではなく株主資本に変更して名称も株主資本利益率として説明している書籍やサイトなども多いです。
しかし、厳密には正しくないです。財務分析の計算式は適宜アレンジしても問題ないとは思いますが解説を行う際には正確性を最大限考慮すべきです。
Return on EquityのEquityはShareholder Equityを意味し、日本語に直訳すると株主資本になりますが、Equity、Shareholder Equityは英語では日本の会計基準における純資産の部に相当します。
したがって自己資本利益率の名称を変更するのであれば純資産利益率とするのが正確です。
自己資本利益率(ROE)の算式分解
自己資産利益率は、売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジへと分解することができます。このように分解することで自己資本利益率を高めるためにはどうしたらよいかが明確になります。
総資産利益率(ROA)との比較
自己資本利益率に類似する収益性分析の指標として総資産利益率(ROA)というものがあります。両者を比較してみましたので興味ある方はご覧ください。