安全性分析

キャッシュ比率(Cash Ratio):現金及び現金同等物/流動負債

2023年8月4日

キャッシュ比率

  1. キャッシュ比率とは、短期的流動性(支払能力)を示す指標。
  2. 類似する流動比率、当座比率より保守的。
  3. 分子の現金及び現金同等物はCFSの資金の範囲と一致。
  4. キャッシュ比率はCash RatioCash Asset Ratioと英語表記(略してCAR)

現金及び現金同等物

キャッシュ比率は分子に現金及び現金同等物を使用します。

したがって、流動資産を使用する流動比率や当座資産を使用する当座比率と比較してキャッシュ比率はむちゃくちゃ厳格で厳しい指標といえます。

現金及び現金同等物

現金及び現金同等物=手元流動性

ちなみに、この現金及び現金同等物とはキャッシュフロー計算書が対象とする資金の範囲と同じです。

英語で「Cash」と言った場合には会計用語的には現金及び現金同等物を指します。

ややこしいのは、英語の「Cash」を日本語に直訳すると現金となりますが、英語の意味を考えると英語の「Cash」とは手元流動性に該当します。

キャッシュフロー計算書が対象とするキャッシュの範囲

せっかくなのでキャッシュフロー計算書が対象とする資金(キャッシュ)の範囲を整理したものをお見せすると次のとおりです。

キャッシュフロー計算書の資金の範囲、現金及び現金同等物

ちなみにこれはせっかくなのでエクセルテンプレートとして配布しています。

ダウンロードはコチラ

手元流動性

なお、現金及び現金同等物は手元流動性比率やキャッシュ比率で使われる「手元流動性」と同じ概念です。ちなみに手元流動性とは、貸借対照表の現金及び預金に短期的な支払手段となるような有価証券を加算したものです。

なお、現金及び現金同等物に関しては会計基準で範囲が決められていますが、流動性比率は特に決められてはいないという違いはあります。

類似する流動比率との比較

キャッシュ比率に類似するものとして流動比率や当座比率があります。どれも短期的な流動性を評価したり、換金性の高い資産による流動負債の支払い能力を評価する指標となりますが流動比率当座比率との比較からキャッシュ比率を図解してみるととても面白いです。

流動比率

まず最初にこちらが流動比率です。分子が流動資産です。

流動比率

流動比率

当座比率

次にこちらが当座比率です。分子が当座資産です。

当座比率

当座比率

キャッシュ比率

そして最後にこちらがキャッシュ比率です。分子が現金及び現金同等物です。

キャッシュ比率

キャッシュ比率

以上からも分かる通り、キャッシュ比率は流動性を評価する指標の中では最も厳格です。

サンプル問題

それでは実際に流動比率、当座比率、キャッシュ比率を計算してみましょう。

答え合わせ

流動比率:1330/1200*100=110.83%

当座比率:(1330-100-10)/1200*100=101.66%

キャッシュ比率:1000/1200*100=83.33%

どんどん厳しくなっていくのが実感できると思います。

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