営業キャッシュフロー比率とは、Operating Cash Flow Ratioと英語表記されますが、営業活動から生み出されるキャッシュフローが流動負債をどれだけカバーしているかにより、会社の短期的流動性を判断する指標です。
流動性とは、ざっくり言うと債務(負債)の支払能力のことを指します。即ち、営業キャッシュフロー比率が高ければ高いほど、その会社は短期的な支払能力が高いと判断できます。
さらに、会社の短期的流動性を判断する指標としては流動比率や当座比率のほうが一般的ですが、営業キャッシュフロー比率はキャッシュフローを使うためより真実に近いです。
流動比率や当座比率との相違点を中心にまだ日本ではほとんど知られていない営業キャッシュフロー比率の有用性について解説してみたいと思います。
営業キャッシュフロー比率とは
営業キャッシュフロー比率とは、営業活動から生み出されるキャッシュフローが流動負債をどれだけカバーしているかを示す指標です。
算式は次の通りです。
流動比率と比較すると分かるとおり、分母に流動負債を使う点は同じですが。ただし、流動資産というストックではなく、営業キャッシュフローを分子とする点で大きく異なります。
分子を営業キャッシュフローとすることにより、本業から生み出されるキャッシュフローで流動負債をどれだけ返済できるかを示す指標になっています。
利益は意見、キャッシュフローは真実であるなどと言われるとおり、会計評価等の予見計算などを一切含まない指標であるためより真実に近いと言えます。
営業キャッシュフロー比率1.0以上
営業キャッシュフロー比率は1.0以上(1倍以上)であることが望ましいとされます。なお、営業キャッシュフロー比率1.0とは、まずキャッシュフロー計算書上、営業キャッシュフローがプラスになっていて、なおかつ営業キャッシュフローが流動負債と同額であることを意味します。
つまり、1.0以上の会社は財務キャッシュフローに頼ることなく本業で稼いだキャッシュフローにより流動負債の返済ができていることを意味します。
営業キャッシュフロー比率1.0未満
それに対して、営業キャッシュフロー比率が1.0に満たない会社の場合には、短期流動負債を返済するために追加で借入金の融資を受けているような、資金繰りが自転車操業状態であることが示唆されます。
なお、流動比率や当座比率とは異なり、1.0未満であったとしても支払能力がないとは評価してはいけない点で注意が必要です。
支払能力がないのではなく、端に営業キャッシュフローが不足しているだけです。創業間もない会社などは業績が良くても営業キャッシュフロー比率は1.0未満になりがちです。
なかなか奥が深くて難しいです。
営業キャッシュフローを使った財務分析指標
営業キャッシュフローを使った財務分析指標にはキャッシュフローマージンというものもあります。
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