株主資本等変動計算書は実際に作って理解しよう！3ステップ

株主資本等変動計算書を理解するポイント

株主資本等変動計算書を理解するポイントとしては次のとおりです。

ではまず最初に株主資本等変動計算書の具体例をお見せしますと次のとおりです。こちらは項目が最小限しかない最もシンプルなタイプです。

最もシンプルなはずなのに、この時点でうわっと強い抵抗感を感じる方も多いはずです。

ちなみにこの株主資本等変動計算書は、こちらで無料ダウンロード可能なエクセルテンプレートにカシオ計算機株式会社の2024年3月期決算短信を入力したものになります。

しかし、株主資本等変動計算書の構成は実はかなりシンプルはな作りになっています。よって簡単に理解可能。

株主資本等変動計算書は貸借対照表の純資産の部とつながっているのですが、ポイントとしては、１行目が前期末残高で、最終行が当期末残高になります。

つまり、その中間部分に当期中の変動が書かれるということです。

上の株主資本等変動計算書の二行目を見ていただきたいのですがそこに当期変動額としっかり書かれています。その下の3行目から～10行目に細かくどの項目がどんな原因で増減したのかが書かれています。

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1前期末純資産の部を転記

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2当期変動額を入力していく

ちなみに、同族会社のような中小企業であればほとんどの場合、入力する必要があるのは当期純利益のみです。当期純利益の入力場所は薄い赤で色塗りしましたが、利益剰余金の増加になります。ちなみに、税引前当期純利益ではなく税引後の当期純利益となります。

その他、上場企業であれば無配当でない限り必ず剰余金の配当も発生します。そしてROEの観点から自己株式の変動もちょこちょこあります。

そして一応少し補足しておきますと、この当期純利益から剰余金の配当を控除したもの（利益剰余金の列の当期変動額合計）が当期における利益の内部留保になります。

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3当期末残高との一致を確認

最後に、当期末残高との一致を確認します。一致していたら完成です。

メモ

なお、会社によっては端数処理がExcelの自動計算そのままだったりしますのでそのまま合計すると1円単位がずれることがあり、完全一致しないことがあります。そういった場合にはその他の項目などで適当に調整しましょう。

株主資本は会社が清算した際には持ち分に応じて株主一人ひとりに分配されます。

つまり、もしあなたがカシオ計算機株式会社の株式の1/1000を所有していたとして、当期末で会社を清算する場合には当期末の純資産合計221,600百万円の1/1000があなたに分配される部分になります。

つまり株主資本等変動計算書は、株式を所有している株主にとっては自分の財産の増減が書かれている貯金通帳みたいなものといえます。そう考えると株主資本等変動計算書はかなり重要だなと感じていただけるかなと思います。

その他債権者保護という側面もありますがこのあたりは割愛します。

株主資本等変動計算書は、金融商品取引法、会社法、どちらのディスクロージャー制度においても財務諸表としてその作成が義務付けられていることからも分かるとおり、とても重要な報告書の一つとして位置づけられています。しかし、損益計算書やキャッシュフロー計算書がかなり重視されるあまり、軽視されがちです。

ちなみに、「貸借対照表と損益計算書はつながっている！」と言われますが両者は正確にはつながっておらず、株主資本等変動計算書を介して間接的につながっているのみです。その意味からも株主資本等変動計算書はとても重要だとわかるはずなんですが、なぜだかやっぱり軽視されていますよね。

その理由としては、株主や会社オーナーではないその他の人々にとっては株主資本の変動はそれほど関心がないからだと思われます。その理由含め解説してみました。

ちなみに株主資本等変動計算書は、Statement of shareholders' equity、ないしはStatement of Changes in Equityと英語表記されます。