財務諸表

決算書を読むための大前提と財務分析を行うための大前提

2024年9月22日

決算書にはルールがある

決算書には聞きなれない名称やたくさんの数字が並んでいます。したがって一般のサラリーマンや学生、主婦等にはとても理解することは困難である印象があるはずです。

しかし、どんな会社の決算書であっても貸借対照表損益計算書(上場会社等の場合にはキャッシュフロー計算書も)によって構成されており、さらにこれらは必ず一定のルール(会計ルール)に基づいて作成されています。

つまり、そのルールを知ることが決算書を理解できるようになる鍵ということになります。

決算書を読むための大前提

したがって、財務分析を使わず、自分の力で決算書を読むためには、決算書を構成する貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書といった財務諸表に関する基本的なルールを理解することが必要不可欠です。これらの理解なしに決算書を読もうとするのは、英単語が分からないのに英語の文章を読もうとするくらいナンセンスなことだと思います。

財務分析を行うための大前提

それに対して、財務分析を行って会社の財務状況を判断する場合にはルールを知る必要がありません。つまり、財務分析を行うための大前提は存在しないということです。

決算書のルールが分からなくても、会社の決算書の数値を財務分析指標に当てはめて算出された財務分析結果だけを単純比較するだけで、会社の安全性収益性などは評価できてしまいます。それが財務分析です。

簿記や会計学を学んだ方であれば必ず感じていると思いますが、複式簿記の仕組みもすごいと思いますが、財務分析というものもすごいなと思います。

財務分析Financial analysis
財務分析とは

財務分析とは 財務分析(読み方:ざいむぶんせき)とは、会社の貸借対照表や損益計算書といった財務諸表の数値を財務分析指標にあてはめることでその会社の安全性や収益性を分析し、その会社の企業価値を評価するこ ...

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より深く理解するためには会計ルールを学ぶ

このように、財務分析を行うことで決算書のルールが分からなくても、会社の安全性収益性を評価することが可能になりますが、より深く特定の会社の財務状況を理解するためにはやはり会計ルールを学ぶべきだと思います。

例えば、一般的な財務分析の教科書的には流動比率は高ければ高いほどその会社の安全性が高いとされますが、過剰在庫によって流動比率は高く算出されてしまいます。したがって流動比率は高すぎても問題です。これを私は流動比率のジレンマ(「流動性のジレンマ」とは無関係)と呼んでいます。

こういったジレンマも会計ルールを多少知ってさえいれば回避可能です。

決算書を読むための会計ルールの学び方

では、決算書を読むための会計ルールを学ぶにはどうしたらよいか。

簿記3級を受験するのはやめましょう

決算書を読むことが目的の人が簿記を勉強したり簿記3級を受験するのはやめましょう。簿記とは帳簿記入のルールであり、決算書を読むためには不必要な知識です。ただし、資産、負債、資本、収益、費用という五つの要素については正しく理解する必要がありますがそれは簿記を学習しなくても理解可能です。

会計の入門書を読むのはおすすめ

決算書を読むためのルールを学ぶのにおすすめなのは会計学の入門書を読むことです。しかも一冊ではなく何冊も。

なぜ一冊ではなく何冊も読むべきなのかといいますと、基本的に入門書であればどの本にも書いてある内容は似たり寄ったりでただ説明の仕方が違ったり切り口が違うのみとなります。同じ内容であっても繰り返し学習することで記憶の定着が良くなりますし、異なった切り口から学ぶことでより深い内容を理解することが可能です。

当サイトを読むのもおすすめ

しかし入門書といえど本を読む習慣がないため本を開いて読むのは少しハードルが高いという方も中にはいると思います。

そんな方には当サイトがおすすめです。会計のルールだけでなく、資金繰りなどの財務や税務についても豊富な知識がある著者が直接執筆しているためかなり深い内容まで学ぶことが可能です。

また、疑問に感じた場合にはコメントして質問することが可能です。

中小企業でも有効な財務分析指標

最後に補足として、中小企業の場合、ほとんどの会社の社長は売上高と当期純利益くらいしか関心がない人が多いです。中小企業であれば実際それで問題ないでしょう。株式公開しておらず、会社の株主は創業者一族が所有しているような中小企業がROAとかROEとか気にしてもしょうがないからです。

しかし、現預金月商比率固定長期適合率といった資金繰りに直結するような指標は是非とも決算期ごとで構いませんので注視しておくべきです。

なぜならば、資金繰りが大変厳しくて困っているという社長さんは日本全国多数いらっしゃることと思いますが、会社の業績が悪くて資金繰りが悪いのではなく、単純にその会社に必要な運転資本に見合うだけの銀行融資を受けていないから資金繰りが厳しいだけという場合がかなり多いからです。

ちなみに、税理士事務所の職員はもちろんのこと、かなり経験豊富な税理士であっても資金繰りについては疎い人はとても多いです。財務は税理士の専門分野ではないからです。

したがって税理士事務所からは適切なアドバイスをしてもらえていないパターンがものすごく多いです。

中の人

会計学を学ぼう!という老舗サイトを2000年に開設。現在は勤務税理士。税法はもとより資金繰り、財務関係も詳しいです。休日に植物いじるのが趣味。あと猫好き。

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