棚卸資産回転期間
棚卸資産回転期間とは、棚卸資産が仕入れからどのくらいの期間で販売できているかをみる指標です。棚卸資産回転期間の算式は次のとおりです。分母に売上高を使う方法など算式にはバリエーションがあります。
ちなみに平均月売上原価は売上原価÷12で求めます。
棚卸資産回転日数
棚卸資産回転期間は上のように何か月分かという月数で計算するのが一般的ですが何日分かという日数で示すとより厳密です。その場合には平均月売上原価ではなく平均日売上原価を使って計算します。平均日売上原価は売上原価÷365で求めます。
売上高を使って棚卸資産回転期間を計算
棚卸資産回転期間の計算に際しては冒頭でご紹介したように売上原価を使用するのが一般的ですが売上高を使用する方法もあります。
運転資本が平均月商の何か月分なのか
といいますか、経理実務上はこちら平均月商を使うほうが一般的です。
理由としては、棚卸資産回転期間を平均月商で計算すると売上債権回転期間と現預金月商比率と棚卸資産回転期間全てが月商ベースとなり、これらの月数を合計すると運転資本が平均月商の何か月分なのかが分かるためです。
棚卸資産回転期間は短いほど良い
棚卸資産回転期間は、期間が短ければ短いほど棚卸資産を仕入れてから在庫となっている期間が短く、よく回転している(よく売れている)ことを意味するため良いです。資金繰り的にもプラスの効果がります。
棚卸資産回転期間は業種により大きく異なる
棚卸資産回転期間は業種によりかなり大きく異なります。
例えば、生鮮食品を扱う小売業の場合では、仕入れた商品の在庫期間は早い物で数日です。したがって平均して小売業の棚卸資産回転期間は1月を下回ることが普通です。逆に不動産業が所有している販売用の土地や建物といった棚卸資産は何か月も在庫しているのが普通ですので平均して不動産業の棚卸資産回転期間は7月くらいとなります。
サンプル問題
それでは実際に棚卸資産回転期間(売上高ベースの在庫回転日数)を計算してみましょう。
せっかくなので20年8月に過剰在庫が原因で倒産した株式会社アーバン・コーポレイションの倒産直前4期の財務データを使用してみましょう。(100万円単位)
≪損益計算書≫ | H17/3 | H18/3 | H19/3 | H20/3 |
売上高 | 57,033 | 64,349 | 180,543 | 243,685 |
経常利益 | 9,479 | 10,677 | 56,398 | 61,677 |
≪貸借対照表≫ | H17/3 | H18/3 | H19/3 | H20/3 |
棚卸資産 | 34,536 | 73,733 | 293,001 | 437,778 |
流動資産 | 90,472 | 164,937 | 397,761 | 556,301 |
流動負債 | 38,448 | 98,921 | 201,646 | 248,473 |
総資産 | 120,550 | 202,990 | 443,304 | 602,566 |
純資産 | 35,455 | 66,638 | 103,111 | 131,517 |
≪キャッシュフロー計算書≫ | H17/3 | H18/3 | H19/3 | H20/3 |
営業キャッシュフロー | △24,955 | △32,991 | △55,033 | △100,019 |
投資キャッシュフロー | △6,603 | 1,078 | △9,063 | △11,100 |
財務キャッシュフロー | 40,233 | 43,043 | 88,210 | 89,212 |
答え合わせ
≪財務分析指標≫ | H17/3 | H18/3 | H19/3 | H20/3 |
棚卸資産回転期間 | 221.0 | 418.2 | 592.3 | 655.7 |