負債の科目

未払金についてみっちり解説!【簿記会計の勘定科目】

2023年8月27日

未払金

貸借対照表の流動負債の区分には買掛金、短期借入金、社債、リース債務などが表示されます。それらと比較して金額的にはかなり小さくなりますが、それ以外にも未払金、未払費用といった流動負債もあります。

有価証券報告書においてはこれらは金額が小さく重要性が低いためその他の流動負債などという表示名称にまとめられていることが多いですが、未払金と未払費用は名称が似ててややこしいですが全く意味が違うため注意が必要です。簿記上は厳密に区別が必要です。

また、未収入金が売掛金とかなり近い性質を持つのと同様に、未払金は買掛金とかなり近い性質があります。未払金は英文簿記ではAccounts Payable-otherなどと紹介されることが多いですが、海外の会計基準における英語表記では未払金は買掛金と特に区別することなくAccounts Payableとなります。区別するとしてもOther Current Liabilities(その他流動負債)です。

買掛金は未払金と厳密に区別する

しかし、日本の会計基準においては買掛金と未払金は厳密に区別することになっています。根拠は企業会計原則です。

貸借対照表原則四、貸借対照表の分類

支払手形、買掛金その他流動負債に属する債務は、取引先との通常の商取引上の債務とその他の債務とに区別して表示しなければならない。

取引先との通常の商取引上の債務が買掛金で未払金はその他の債務に該当します。

未払金の計上

未払金は決算において決算整理仕訳で計上します。具体的には、決算日現在に会社に届いている請求書のうち、当期中に費用として発生している通信費、カード利用明細、水道光熱費、事務用品、消耗品費等で、決算日後に支払となるものについて未払金を計上します。通信費であれば次のような仕訳になりますが

(借方)通信費 ×× (貸方)未払金 ××

このように、水道光熱費、事務用品、消耗品費等、細かく未払金として計上していきます。金額的にかなり少額ですが、正確な期間損益計算を行うためには必要な作業となり、また法人税などの負担を考えると少しでも多く経費を計上したほうが利益が少なくなり、結果として税負担も軽くなるため、積極的に計上されます。

原価を必要経費としないように注意

なお、会社に発生する費用には売上高と個別的対応関係にある原価と、売上高と個別的対応関係のないその他の費用に分類されます。

損益計算書Profit and loss statement
費用について具体例からみっちり解説!(図解豊富)

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荷造運賃や関税などに多いですが、それらのうち売上高との個別的対応関係に基づき発生したものを未払計上する際、未払金として計上するのではなく買掛金として計上しますので要注意です。

(借方)仕入諸係 ×× (貸方)買掛金 ××

詳細は売上原価の解説ページをご覧ください。

売上原価について詳しくはコチラ

 

未払費用と未払金の違い

未払費用と未払金はよく似ています。しかし未払費用は適正な期間損益計算を行うための必要性から計上されるもので、未払金はすでに債務として確定している費用だから当然として計上するものです。名称が似ていますが基本的な性質は全く異なりますので簿記の問題では混同しがちですので注意が必要です。

詳細は未払費用の解説ページをご覧ください。

未払威容について詳しくはコチラ

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