財務諸表とは本来法律用語
財務諸表(読み方:ざいむしょひょう)とは、本来は法律用語です。
昭和38年に公布された「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条第1項において次のように定義されています。
それによると財務諸表とは冒頭書いたと同じ次の4表となります。
なお、「財務諸表」という名称は英語の「Financial statements」をそのまま日本語に直訳したものと思われます。
附属明細書、個別注記表
しかし、財務諸表とは貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の4つを言うと書いていますが、厳密には附属明細書や個別注記表なども財務諸表に含まれます。
根拠としては、上でご紹介した「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第1条第1項のカッコ書き部分で、そこにはこれらの財務書類に相当するものであつて、指定法人の作成するもの及び第二条の二に規定する特定信託財産について作成するものを含む。と記載されているからとなります。
ただし、財務諸表の範囲には含まれるもののあくまで貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の内容に関する補足的な情報を補足的に公開しているだけなので、補助的な位置づけとなります。
財務諸表とは
以上より、財務諸表とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書という4表を指す、と当ブログではご紹介しています。
ただし、人によってはあくまで附属明細書なども含めるべきだ等、色々と考え方が異なりますし、厳密な意味においては附属明細書なども財務諸表の範囲に含まれますし、そもそも準拠するディスクロージャー制度によってその範囲は異なりますし、財務諸表の定義に関しては諸説あると思ってください。
なお、法律用語であるからといってその法律の適用がある場面以外では法律の文面通りに従わなければいけないといった義務は全くありません。
その上で財務諸表として他のものとは格段に別格で重要なのが次の4つだということです。
財務諸表と決算書は同義の会計用語
また、日本において財務諸表という単語は決算書と同義の会計用語として扱われています。
ちなみに決算書とはざっくり説明すると会社が決算期ごとに作成する経理に関する報告書のことです。財務諸表もざっくり説明すると同じです。
財務諸表と決算書は厳密には別のもの
ただし個人的な主観として財務諸表と決算書は厳密には少し異なると思います。
本来、決算書とは会社法の規定により作成される計算書類のことを指すと思います。同様に財務諸表は金融商品取引法の規定に作成される外部公表される有価証券報告書のうちの貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書を指すと個人的には思っています。
ただし日本においては、計算書類のことも財務諸表と呼ばれますし、有価証券報告書のことを財務諸表と言ったりもします。
決算報告書が決算書になった
また、これも個人的な主観に過ぎず、どこかにソースがあるわけではないですが、決算報告書を短縮したのが決算書だと思います。ちなみに決算報告書とは、会社法の規定により作成される計算書類を紙にプリントした際に表示されるタイトルです。こういうものです。

財務諸表(決算書)の読み方
財務諸表の読み方については別ページにまとめました。
財務三表とは
最後に、日本においては財務諸表のうち、貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書の3表を財務三表と呼ぶ風潮があります。
ちなみにこれはもともととある有名な書籍の著者である経営コンサルさんが書いたことで広まった造語です。
専門用語でも会計用語でもないため、会計の専門家や経理の専門家でこれを使う人は皆無ですが、素人さんに財務諸表について説明する際には大変都合がいいので好まれて使われている気がします。
あとは、財務諸表という単語には定義が色々ありすぎて人によって解釈も違いますし、不便な場面が多いので都合がいいという側面もありそうです。