EPSとは
EPSとは、Earning Per Shareの略で一株あたりの当期純利益のことです。会社が一株あたりいくらの当期純利益を稼いでいるかを意味します。EPSの基本算式は次のとおりです。
当期純利益を発行済株式数で除したものであり、大きければ大きいほど良いです。
ちなみにEPS(一株当たり当期純利益)は金融商品取引法などのディスクロージャー制度の要請により開示項目とされているものです。したがって自己株式がある場合など、いろんなケースごとに計算方法に関して細かな取り決めがあります。
一株当たり情報は開示義務がある
金融商品取引法などのディスクロージャー制度の要請により、会社は財務諸表を公開する際、併せて一株当たり情報の開示が求められます。一株当たり情報には次のものがあります。
- 一株当たり当期純利益(Earning Per Share;EPS)
- 一株当たり純資産(Book Value Per Share;BVPS)
- 一株当たり配当金(Dividend Per Share;DPS)
優先株部分は除外
一株当たり当期純利益は商法や証券取引法の開示制度において開示項目となっています。そしてどちらの開示制度においても前述のように優先株部分を除外して普通株式部分のみで計算することとされています。
計算方法に関して詳しくは会計基準が公表されていますので詳細はそちらをご覧ください。
EPSの調整計算
EPSの基本算式は次の通りですが、自己株式がある場合など株式が希薄化している場合には基本算式に一定の調整を加えて計算を行います。これにより正確性が高くなっています。
- 優先株式がある場合には分母分子から除外して普通株式だけを使用
- 転換株式の希薄化効果がある場合には分母分子に調整
- 期中平均株式数を使用
希薄化とは
上場会社の場合にはストックオプションとして新株予約権や転換社債を発行していることがあります。その場合には新株予約権を所有する保有者の意思で権利行使を行って新株予約権を株式に交換することが可能です。
そして新株予約権が行使されると発行株式数が増加するため一株当たり当期純利益の算式の分母が大きくなり、算出される一株当たり当期純利益の金額が小さくなります。これを希薄化といいます。
このように新株予約権を発行していて希薄化効果が認められる場合には潜在株式調整後1株当たり当期純利益を開示すべきことが定められています。
計算方法に関して詳しくは会計基準が公表されていますので詳細はそちらをご覧ください。
EPS収益性を測定する公平な指標
EPSは収益性を測定する指標として次の点で優れています。したがって投資家が重視する指標です。よってディスクロージャー制度の要請で開示が義務付けられています。
- 自己資本などのように金額ではなく株式数であるため資本規模を除外しており会社の大小にかかわらず公平
- 自己資本利益率と同様に財務レバレッジがかかっているため資本効率を加味した収益性を測定できる
- 調整計算を行うため会計的な恣意的な操作可能性を排除している。