短期的な安全性を分析する(資金の安定性)
流動比率をみればその企業が安全かどうか(倒産の危険度)が分かるというのは前述のとおりですが、では、どの水準まで流動比率があるべきなのかを次に解説します。
通常企業は、急な支払いに備えるため現金等の支払い手段を多めに保有しています。したがって通常流動比率は120%~140%くらいが平均的な数値であり、150%くらいが理想であるといわれています。
しかし、業界によっては売掛金の回収期間が長い、または小売業のように現金商売をしていて売掛金の回収期間が極端に短い業界等あるため、一概にこの120~140%というのはあてはまりません。したがって業界によってバラツキがあることは念頭に入れる必要があります。
ここまでのところを念頭に入れて流動比率を見れば、その会社の安全性について一定の判断ができますが、流動比率は万能ではなく以下のような問題もあります。
(1)流動比率には棚卸資産や前払費用といった換金性のない資産も支払原資として含めてしまっている
(2)そもそも貸借対照表の数字は決算日時点の情報(ストック情報)であり、実際にそれが入金又は出金となるタイミングまで考慮していない
以上のことから、企業の短期的な安全性を判断する際に流動比率は非常に有用ではあるものの万能ではないということを念頭に入れた上で他の指標も参考にして総合的に判断するべきだと思います。
そこで、(1)の欠点を考慮して補うものとしてよく使われるのが当座比率です。(次ページの解説に続きます)
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