長期的な安定性を分析する(資本の安定性)
これまで流動比率を使った短期的な安全性を判断する方法を解説してきましたが(前々ページ、前ページ)、次に長期的な安全性について解説してみます。
企業の長期的な安全性を判断する上で重要なのは、企業が調達した資本の安定度です。
分かりやすいところとしては、貸借対照表の貸方(右側)のうち、自己資本は返済義務がありませんが、自己資本以外の借入金などはいずれ返済しなければならない他人資本です。したがって返済義務のない自己資本が多ければ多いほど、その企業は返済義務のないお金を元手に事業を行っていることになるため必然的に資金繰りが安定します。
またそもそも自己資本というものは、上述のように株主からの拠出資本と、さらに企業が稼ぎ出した利益の内部留保とで構成されています。したがって自己資本が多いということは、すなわち過去の利益の蓄積が多いということも意味します。
過去の利益の蓄積が多いということは、経営者の経営手腕が高い、堅実な経営を長期に渡って行っている、または無謀な投資を行っていないとことが予想されるため、企業の総合的な健全度をも示しているといえます。
この総資本に占める自己資本の割合を自己資本比率といいます。自己資本比率は業種等により適正値はかわってきますが、一般的な平均は20~30%程度で、理想は40~50%といわれています。
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