売上高とは
売上高とは、収益のうちその会社の本業の営業活動から獲得したものをいいます。
売上高は損益計算書の先頭行に記載されていることからトップライン(Top line)とも呼ばれます。複数の本業を営んでいる場合には売上高を事業別に区分して表示するのが明瞭性の原則の要請にもかなうため好ましいと言えます。
売上高は財務諸表における最も重要な指標の一つです。
本業とは定款に記載されている会社の目的
本業とは社会通念上、形式的には会社の定款に目的として記載されている事業がそれに該当します。
しかし、定款に目的として記載されていない事業であっても、本業として営んでいるという意思がある限り、その事業から生じた収益も売上高に該当します。
本業以外の事業も本業の売上高
なお、ここがかなりややこしいですが、本業とは本来、定款に目的として記載されている事業ですが実務上、定款に目的として記載されていなくても、本業とは別に行っている事業であったとしても、売上高とするのが普通です。
前各号に付帯関連する一切の事業
これだけがその理由ではないと思いますが、本来、定款の目的は具体的に書く必要がありますが、目的の最終行に「前各号に付帯関連する一切の事業」と書く慣習があります。これは一種の逃げですが、このように定款に書かれてある限りは、その会社の営む一切の事業は全て「本業=定款の目的」となります。
専門部署がある限り本業
例えば、自動車製造などが本業の会社があるとして、その会社が介護事業にも参入しているというケースは結構多いです。
こういった場合、通常は定款の目的に介護事業を追加している場合が普通ですが、仮に定款に介護事業を追加していなかったとしても社内に介護事業部というような専門部署を立ち上げている限りは、これは私個人の主観となりますが、その事業から生じる収益も売上高です。
理由としては、組織はトップダウンが基本であり、専門部署を立ち上げているということは、その会社には自動車製造という山以外に新たに介護事業部という新しい山ができたということです。それはもう売上高だと思います。
会計上、本業という定義はない
形式的には損益計算書の売上高とは本業から生じた収益となりますが、この場合の本業とは社会通念上の本業とはかなり意味が異なります。社会通念上の本業とは前述のとおり、会社の定款に記載された目的を言いますが、会計学における本業はもっとかなり幅広いです。
どこにも明文のルールはないですが、会社が売上高だと認識しているのであればそれは売上高です。ただし不動産賃貸を例にとると次のような線引きは可能です。
不動産賃貸収入
空きビルを何棟か所有していて、それを不動産仲介業者を通して賃貸に出しているため毎期収益が発生している場合であれば不動産賃貸収入として営業外収益とするのが普通だと思われます。これを売上高とする会社はないと思います。
不動産賃貸売上
空きビルを何棟か所有していて、不動産仲介業者に依頼せず、専門部署を立ち上げるなどして、直接他社に貸し付けている場合であればそれは不動産賃貸売上として売上高とするのが妥当ではないかと思います。付加価値を産み出しているか、専門部署や専門スタッフを雇って危険分担をしているか、あたりが線引きになると思います。
売上高=付加価値を生みだす活動収益
会社とは利益を稼ぐをことを目的として設立された集団で、利益を稼ぐことを目的として運営されています。したがって、上記の内容を踏まえて考えてみても、会社が営んでいる付加価値を産み出す活動は全て本業です。よってその活動から稼いだ収益は売上高です。
収益とは売上とは
売上高と区別がよくわからないものに収益、売上というものがあります。
収益とは
収益とは、事業活動によって会社にもたらされる現預金の増加をいいます。ただし、現行企業会計において収益は現預金の増加の時点ではなく、発生のタイミングで、ただし未実現利益の計上を防ぐ目的から売掛金などの貨幣性資産を受領した時点で計上します。これは企業会計原則が定めているルールです。
-
発生主義の原則は企業会計原則流の発生主義会計である。
現行制度会計において損益計算は期間損益計算が、費用及び収益の認識のタイミングについては発生主義会計が採用されていますが、それを踏まえた上で企業会計の最高規範である企業会計原則においてそれがどのように規 ...
-
実現主義の原則
会計学上、売上高の計上基準には、発生主義、実現主義、現金主義という三つの考え方があります。それに対し企業会計原則は売上高の計上につき実現主義を採用することを要請しています。 売上高の計上基準 発生主義 ...
そして復習になりますが、収益のうち、その会社の本業から生じたものが売上高です。
売上とは
売上高と売上は異なる、というようなことが書かれたサイトがありました。なんじゃこれって思ってしまいましたが、売上高とは売上原価と同様に損益計算書の表示名称というだけですので売上高と売上は同じものです。
売上は勘定科目であるから内部情報であり、売上高は損益計算書の表示名称であるから外部情報という違いはあるかもしれませんが、決算操作などを行っていない限り金額は同じです。