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目次
  1. 総資産回転率とは
  2. 総資産回転率の意味
    1. 総資産回転率は多ければ多いほどよい
    2. 貸借対照表から見た総資産回転率
  3. 総資産回転率はどんな会社もだいたい1〜2倍
  4. 総資産回転率ランキング
  5. 総資産回転率と総資産利益率との関連
  6. 総資産回転率と自己資本利益率との関連

総資産回転率とは

総資産回転率とは、事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標です。総資本回転率とも呼ばれます。効率性分析の指標です。

総資産回転率の算式は次のとおりです。


総資産回転率


総資産回転率の意味

総資産回転率は売上高を総資産で除して求めます。この算式の意味あいですが総資産回転率を既に学習したことがある人からしてもかなり分かりづらいのではないかと思います。冷静に考えて資産が回転ってどういうこと?って思いませんか?

回転ということならば算式の分母は総資産ではなく棚卸資産としたほうがしっくりくるはずです。

総資産回転率

しかし総資産回転率は分母を総資産として計算します。

総資産回転率

これはなぜかといいますと、事業に投下されている全資産が直接的に売上獲得に貢献するものと仮定して、売上高が総資産の何倍あるかにより企業が調達した資本の活用度合いを示そうとしているのです。

つまり回転率というよりは倍率を示しています。


総資産回転率は多ければ多いほど良い

総資産回転率は多ければ多いほど少ない資産で大きな売上を獲得できていることを意味し、資本効率が良いことを意味します。


貸借対照表からみた総資産回転率

貸借対照表から見た総資産回転率を考えてみましょう。

貸借対照表は右側の負債と資本が資本の調達源泉を意味し、左側の資産が資本の運用形態を意味します。



資産のうち棚卸資産などの販売目的資産は早期に販売されて売上高の獲得に直接的に貢献(回転)し、逆に工場などの機械設備は耐用期間に応じて10年、20年使用されることを通じて会社の売上高の獲得に間接的に貢献(回転)していきます。


総資産回転率はどんな会社もだいたい1〜2倍

したがって総資産に占める商品の割合が多い小売業などの業種は総資産回転率が高くなる傾向があり、逆に多額の設備投資が必要な製造業は総資産回転率が低くなる傾向があります。

つまり総資産回転率は業種により大きく異なると言うことですが、面白いことに総資産回転率はどんな会社もそこまで大差がなくだいたい1倍〜2倍程度です。

例えば総資産1億円の会社が売上高100億円稼ぐとかまず絶対にありえないです。売上高100億円を達成するには100億円くらい資本を集める必要があるということです。ここで有効なのが財務レバレッジです。


総資産回転率ランキング

総資産回転率会社ランキングなどと検索して調べてみても総資産回転率が2倍を大きく超えていたら超すごいという感じです。総資産回転率が5倍とか10倍の会社なんて特殊な業態じゃない限りまずありえないです。

ちなみに総資産回転率は特殊な事情があると跳ね上がるため3年くらい平均くらいしないと正確な数字はでてきません。総資産回転率ランキングみたいなものは意味がないことが多いです。

なぜ総資産回転率はあまり差がつかないのかに関してですが、売上債権回転期間棚卸資産回転期間現預金月商比率といった運転資本に関する財務分析指標を含めて総合的に考えていくとなるほどと気づくはずです。

なお総資産回転率はどんな会社であってもだいたい1倍か2倍ということは総資産(総資本)が10億円の会社は売上高もだいたい10億円〜20億円くらい、総資産が1,000万円の会社は売上高もだいたい1,000万円〜2,000万円だということです。総資産1,000万円しかないのに売上高1億円なんてまずありえません。当てはまると思いませんか?


総資産回転率と総資産利益率との関連

総資産回転率に売上高利益率(純利益率、当期利益率)を乗じたものが総資産利益率(ROA)となります。

そして上述のとおり総資産回転率はどんな会社であってもそこまで差は出ないため総資産利益率をあげる鍵となるのは売上高利益率であるということです。実際売上高利益率は会社によってものすごく差があります。


総資産回転率と自己資本利益率との関連

総資産回転率に売上高利益率(純利益率、当期利益率)を乗じたものにさらに財務レバレッジを乗じたものが自己資本利益率(ROE)となります。

途中まで総資産利益率と同じであるため自己資本利益率を上げる鍵となるのは総資産利益率と同様に売上高利益率となりますが自己資本利益率の場合にはさらに財務レバレッジも影響します。



総資産回転率の統計データ(業種別平均)

経済産業省発表の平成26年企業活動基本調査速報(平成25年度実績)による業種別の総資産回転率の平均は次のとおりです。小売業や卸売業は工場などの設備投資が多く必要な製造業と比較して総資産回転率が高いです。


24年 25年
全業種平均 1.1 1.1
製造業 0.9 0.9
卸売業 1.8 1.9
小売業 1.8 1.8

さらに詳細な統計データはこちら


 

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