簿記とは、取引を会計帳簿に記録し、その会計帳簿に基づいて決算書を作成することをいいます。つまり、簿記とは、会計帳簿を作成するだけでなく、決算書を作成するところまで含めて簿記です。
なお、現代においては会計ソフトが当たり前に普及しているため、取引を会計ソフトに入力するだけで自動的に決算書まで作成してくれるなど便利になりましたが、本来は決算書を手書き手計算で作成するところまでが簿記の守備範囲だったということです。
決算書の作成義務
全ての事業者は毎決算期ごとに税務申告や会計報告を行う義務があります。そのためには決算書を必ず作成する必要があります。
決算書を作成するために必要なのが簿記により作成された会計帳簿です。ちなみに会計とは、簿記により決算書を作成する際のルールです。
簿記の種類
単式簿記と複式簿記
簿記には複式簿記と単式簿記があります。
- 複式簿記
- 単式簿記
後述していきますが、単式簿記は不完全な会計帳簿の記帳方法です。しかし、必ずしも全ての法人や個人事業者が複式簿記を採用する必要はなく、不動産所得しかないような小規模な個人事業者であれば単式簿記を採用している場合が多いです。それでなんら問題ないです。
正規の簿記の原則
しかし、通常の株式会社であれば複式簿記以外はあり得ないです。その根拠が正規の簿記の原則です。
一般原則二、正規の簿記の原則
企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
正規の簿記の原則に関する詳細はこちらをご覧いただきたいですが
https://fsreading.net/198-2/
端的に言いますと、正規の簿記の原則は「企業会計は」と前置きしたうえで次の三要件に従った会計帳簿を作成することを要請しています。
- 網羅性
- 立証性
- 秩序性
そしてその「企業会計」には全ての営利法人が営む会計が該当します。したがってこの時点で全ての株式会社は上記三要件を満たす会計帳簿を作成する必要があります。そして次に、この三要件を満たす簿記は複式簿記しかありえません。
したがって結論として、通常の株式会社であれば単式簿記の採用は認められず、複式簿記を採用して会計帳簿を作成しなければなりません。